10/30 オレたちの好きなコント2本~企画コーナーもやります~@ルミネtheよしもと

2019年10月30日(水)オレたちの好きなコント2本~企画コーナーもやります~@ルミネtheよしもと
【出演】空気階段/ザ・マミィ/ゾフィー/チョコレートプラネット/GAGかもめんたる

 好きな人たちから「これが好きです」と明示されたネタを見られるのってわくわくするなと思いながら新宿に向かい、たのしかった気持ちを抱えながら地元に帰ってきたハロウィン前日の夜。席は端っこだったけど思ったよりもみやすくてよかった。B列って初めてだったかもしれない。

 香盤順は以下の通り。コント披露後スクリーンにそのコント名と好きな理由が映し出されるという私としてはうれしい演出でありがたかった(ネタの正式名称知りたいマン)。なのでタイトルはすべて公式のものです。好きな理由はタイトルのとなりに。ネタ感想はめちゃくちゃものすんごいネタバレをしているのでご留意ください。

(1本目)

  • 空気階段『関健』/「強く生きようと感じるところ」
  • ザ・マミィ『童貞総理』/「目の前のお客さんが実際の群衆みたいで気持ちいい」
  • ゾフィー『博士とロボ』/「冒頭から本当は感情が芽生えていると思うと本当に笑っちゃいそうになるから」
  • チョコレートプラネット『クイズショウ』/「NOIS」
  • GAG『河川敷』/「中島美嘉さんが指導に熱を入れすぎて入れ替わっていることに気付いていない狂気」
  • かもめんたる『朝の情報番組』/「『小さい大根ですね』の理論」

(2本目)

  • 空気階段『ヒッコシ(事故物件)』/「オチが綺麗なところ」
  • ザ・マミィ『自慢の彼女』/「オチがのっぺりとしていてキモくて好き。」
  • ゾフィー『マトリ』/「やってて本当に気持ちよくなるから」
  • チョコレートプラネット『霊媒師』/「両さん
  • GAG『BAR』/「楓の先輩への礼儀正しさが気持ちいい」
  • かもめんたるフードファイター』/「悲哀」


①ザ・マミィ『童貞総理』
 酒井さん演じる童貞総理(52歳)と林田さん演じる秘書の会話劇がメイン。童貞総理がもうほんと~~~~~うに かわいくて……ラヴィ…(©かが屋加賀)
 一国の総理が童貞なのはなんかアレでは(どういうアレだ)ということで、秘書が無理矢理プロの方にお願いしようと総理を吉原に連れて行くのだけれど(吉原ってところがなんかいい)、総理がそれを断固拒否して「好きな人いるもん!」って大きな声で言ったあと、秘書から「好きな人って誰ですか?」と聞かれてちいさく「…ぁやせはるか」⇒秘書聞き返す⇒つぎは大きく「っあやせはるか!」と返すこのやりとりがめちゃくちゃ好きです。かわいいしおもしろい。この「好きな人いるもん」と「あやせはるか」の酒井さんの言い方がべらぼうにかわいいんですよほんとう…綾瀬はるかに会わせてあげたい(ごうなき)。
 好きな理由として挙げられた「目の前のお客さんが実際の群衆みたいで気持ちいい」、これはコントの中で童貞総理を支持する国民が官邸の外に集まってきてその声援に童貞総理が力強く返すっていうシーンのことを指していて。たしかにこのシーンになると見ている自分が国民になっているような気がするんですよね。総理だ~!ってなる。それが自分もザ・マミィのコントの一部になれたような特別感を味わえるからわたしはすごく好きだなあって思います。いちばん国民感がすごかったのは10/4の行列の先頭(K-PRO主催ライブ)だったかな、体感して思ったのは。会場のなかのZERO大ホールが1300人ちかいキャパ数を持っているので群衆さがすごかった。
 酒井さんの個性は強いけれどアクは強くなく、林田さんの派手ではないけれど没個性ではないバランスがすごいな、良いなと思う。マミィはパステルカラーなイメージ。

空気階段『ヒッコシ(事故物件)』
 ツイッターでもつぶやいたけどAV(アダルトビデオ)でした。でした。仕掛けがすごすぎて大手芸能事務所の専用劇場の強さを目の当たりにした…すごすぎる…。ルミネtheよしもとがラブホテルだった。
 コントの内容は引っ越しをしたかたまりさんの新居にもぐらさんが遊びに来たけれど、どうやらこの新居おかしくないか?というかんじ。導入部分のかたまりさんの振る舞いとふたりの会話がもうおかしくておかしくて。軟体動物なのか?っていうぐらいふにゃんふにゃんした動きでかたまりさんが新居の喜びをつぶやきながら部屋の中をめぐるんですけど、その絵面の強さたるや…つよい。もぐらさんの見た目が相当インパクトあるはずなのに、このかたまりさんの存在感によりなんかふつうに見えるんだよね、でもべつのコントではその印象が真反対になったりするから空気階段すごいなって思う。
 かたまり「家賃聞いてよ」
 もぐら「ええ…いくらなの」
 かたまり「いくらだと思う?」
 もぐら「(めっちゃめんどくさそうな顔)」
 この流れがはちゃめちゃにおもしろかった。めちゃくちゃ…めちゃくちゃめんどうだろうな…。
 本編はタイトルにもついてる事故物件らしい現象が起きていて、でもそれがぜんぶ※18禁って赤文字太字で書くべき仕様になっているという。しおふいてるがめちゃくちゃおもしろかった。(あえてへんかんをしない)事故物件現象※18禁が起きているあいだ、空気階段のふたりはボケとかツッコミとかはせずただひたすら友人同士がパニックになっている姿だったんだけれどそれがほんとうにおもしろくて。えろいけどちゃんとこわいっていう。たしかに不意打ちのエロは逆に恐ろしいかもしれないなと思った。実体のないえろ…
 好きな理由の「オチが綺麗なところ」これはまさにそうだな、と思いました。また見たいけどなかなか…なかなか頻繁にはできないコントだろうなこれ……ネタギリッシュナイト(ゴッドタン)でもむりかな…ド深夜時代のやりすぎコージーとかだったら地上波でもやってくれたのでは、という希望。期待。

ゾフィー『マトリ』
 上田さん演じる先輩麻薬捜査官とサイトウさん演じる後輩麻薬捜査官が売人のアジトを見つけたところからはじまるこのコント、上田さんの狂気がとにかく凄まじかった。恐怖が背筋を撫ぜたと思ったらおもしろくて腹をくすぐられる…っていう繰り返し。笑いと恐怖は紙一重だと常々思っているのですが、このコントは紙一重中の紙一重だな、と思った。思わず背筋が伸びたよね…。
 上田さんが机に散らばった麻薬を舐めて「麻薬で間違いない」と断定したところからすこしずつ彼のすでにこわれていた姿(捜査官自身が麻薬常習犯だった)が明るみになっていくんだけど、その“すこしずつ”っていうのがこれでもかと細かく細かく精巧に描かれていて、これを本に起こして実際に演じている上田さんのすごさを身に染みたし、このひとこわいなとも思った。個人的にこのコントを見てバナナマンの『ルスデン』をはじめて見たときのこわさがあった…。コント全体の雰囲気としてはぜんぜんちがうんだけど(ゾフィーのほうがだいぶ明るい)、“そのひとがそのひとではなくなっていく過程の姿”の描写がすごい。
 ただいちばんすごいなと思ったのは、呂律がまわらなくなる・冷静な判断ができない・幻覚症状・薬の渇望、薬の乱用による症状で本来は恐ろしい姿をなぜかめちゃくちゃおもしろく魅せて、且つコントとしてはコミカルな色味だったことなんですよね。薬に侵された姿は抽象的でもなくオーバーに演じているわけでもないのに。むしろほんとうに細かかったと思う。
 さいごサイトウさん演じる後輩捜査官が「やってんなー!」と気付くわけなんですけど、めちゃくちゃ軽くて笑う。でも冷静に考えて“目の前の先輩が麻薬常習犯だった”ことに「やってんなー!」だけってめちゃくちゃこわくない…?
 このコントを好きな理由が「やってて本当に気持ちよくなるから」っていうとこまでがコント『マトリ』なのかな、と思いました。ある意味コントも麻薬なのかもしれない。

 全組全ネタ終わって企画コーナー。「終演予定時間過ぎてるんですが『企画コーナーもやります』銘打ってるんで企画やります」(進行担当GAG宮戸さん)との号令ではじまったのでわらった。(「みんな好きなネタやってるから時間が押してる…」とのこと)
 企画は劇団よしもと(空気階段チョコプラGAG福井さん坂本さん)VS劇団かもめんたるかもめんたるゾフィー、ザ・マミィ)に分かれて対決。【劇的泣き泣きシアター】と称して、泣きの芝居で対決して、どちらがふざけず笑わずちゃんと泣けるか/泣きを誘える演技ができたかを競い合うというもの。ちなみに相手チームが演技をしているあいだ、指名制の演技指令を出せる妨害カードをつかって相手チームの演技を崩せるとのことでした。

先攻:劇団よしもと/テーマ「最後のロッカールーム」
【妨害カード内容】(指名敬称略)
 ①かたまり(空気階段)⇒オネエ化
 ②福井(GAG)⇒間を使って薄い一言
 ③坂本(GAG)がもぐら(空気階段)に⇒本気ビンタ
 ④長田(チョコプラ)⇒熱くなるポイントがおかしい
 ⑤松尾(チョコプラ)が長田(チョコプラ)に⇒キス
 ⑥福井(GAG)⇒独特な走り方で捌ける

後攻:劇団かもめんたる/テーマ「戦場の絆
【妨害カード内容】(指名敬称略)
 ①酒井(ザ・マミィ)⇒無駄に同じ言葉を2階繰り返す
 ②上田(ゾフィー)⇒ちょいちょい関西弁になる
 ③上田(ゾフィー)⇒ミュージカル風に
 ④林田(ザ・マミィ)⇒絶対に今言うことじゃないことを言う
 ⑤う大(かもめんたる)⇒マシンガンとキス
 ⑥サイトウ(ゾフィー)⇒独特な走り方で捌ける

 どちらも泣けはしなかった(だいばくしょう)。相手チームが演じているあいだもう一方のチームは下手側端っこに一列に座ってその様子を見てるんですが、吉本組が板付いたときに松尾さんがゼロ距離で相手チームの前にいて笑った。(まっすぐに立つ松尾さんを真剣な目で上田さんが見つめていたらしい…ちょうど見えなくてざんねんだった…)
 長田さんが「なんでこんなにロッカールームが広いんだよ!」(※舞台上だからです)って怒り始めたのもめちゃくちゃおもしろかった…。それを受けて坂本さんが「じゃあ物動かそうぜ!」と言って小道具(ロッカーとか椅子とか)を動かすんだけど、「結局動ける範囲が広くなっただけじゃねえか!!」と長田さんがより怒っててもうだめでした(腹筋が)。もぐらさんがひとりでロッカー(でかい。掃除用具入れみたいなサイズ)を持ち上げていた姿がただの引っ越し業者だった。
 かもめんたる組は戦場が舞台。マシンガンを持って飛び出してきた上田さんと槙尾さんを見て吉本組が口を揃えて「少年兵?」と言うもんだから少年兵にしか見えなかった。まじで少年兵だった。(とくにうえださん…)(かわいい…)そのあとサイトウさんが飛び出して来たんですが、まさかの拳銃でぜったい即死だろって思った。
 勝敗は客席拍手投票で決めることになったのですが、判別がつかず結果引き分けに。「決選投票するまでもないですね」(GAG宮戸さん)ばっさりすぎてわらう。

 終演時間を大幅に越えていたので、足早にエンディングになり終演となりました。企画がマッハすぎたけどそのスピード感が逆によかったのかもしれない…おもしろすぎた…。コントは12本も見られて、しかもほとんどはじめて見たものばかりだったからよりうれしい。マミィの童貞総理は自分も個人的に特に好きだな~と思っていたコントだったから、ご本人たちが今回のライブ選んでくれて・理由も知られてうれしいうれしい。ほくほく。童貞総理かわいい。
 めちゃくちゃたのしかったライブだったので、また次回開催されるのがとてもたのしみです~漫才師版も見てみたい。アンケートに見てみたいコント師漫才師どちらも書いたので、ぜひに実現していただけたら…うれしいな…